1992年6月。あなたはその頃、何をしていましたか?
おそらく、学校から帰るなりスーパーファミコンの電源を入れ、『ストリートファイターII』で波動拳を撃つ練習に明け暮れていたのではないでしょうか。私もそうでした。世の中はまさに「俺より強い奴に会いに行く」熱狂の只中。ファミコンなんて、もう弟や妹のお下がりになっていた家庭も多かったはずです。
しかし、そんな時代の片隅で、ひっそりと、しかし確かな職人芸で作られた「あるRPG」がコナミから発売されていたことをご存知でしょうか。
その名は『エスパードリーム2 新たなる戦い』。
「1は知ってるけど2は未プレイ」「存在自体知らなかった」──今回、私のYouTubeコミュニティでアンケートを取ったところ、まさにこの反応が目立ちました。ファミコン末期の“空気”に埋もれてしまった名作。だからこそ、今こそ拾いに行く価値があります。
この記事の結論(先に答え)
- 評価:「刺さる人に深く刺さる」タイプ。短時間で濃い満足が残る。
- 今遊ぶ方法:現状、Switchのサブスク配信で気軽に遊べる状況は確認しづらいので、実機カセット+互換機(レトロフリーク等)が現実的。
- 強み:VRC6(拡張音源)の“コナミ味”が濃い。BGM目的で起動する人が出るタイプ。
エスパードリーム2とは?ファミコン末期に咲いた徒花
本作の立ち位置を明確にしておきます。前作『エスパードリーム』はディスクシステムの名作として知られ、続編となる本作は5年後の1992年、ROMカセットとしてファミコン市場に投入されました。
基本スペックは以下の通りです。
| タイトル | エスパードリーム2 新たなる戦い |
|---|---|
| ジャンル | アクションRPG |
| 発売日 | 1992年6月26日 |
| メーカー | コナミ |
| 相場(箱説あり) | プレミア価格になりやすい(相場は時期・状態で大きく変動) ※購入前にフリマ/オークションの直近相場を確認推奨 |
「ファミコン末期のソフトは化け物揃い」というのは、レトロゲーム愛好家の間では共通認識ですよね。『星のカービィ 夢の泉の物語』や『メタルスレイダーグローリー』など、開発ノウハウが極まった時期の作品は、ハードの性能限界を超えた表現を見せてくれます。
本作も間違いなくその「化け物」の一つ。なのに、発売当時はその凄さが世間に十分伝わりませんでした。理由はシンプル。同じ月に“怪物”がいたからです。
1992年6月の悲劇!世間は「俺より強い奴」に会いに行っていた
本作が「隠れた名作」となってしまった最大の要因。それは発売のタイミングがSFC版『ストリートファイターII』と被ってしまったこと。これに尽きます。
- 6月10日:SFC版『ストリートファイターII』発売
- 6月26日:FC版『エスパードリーム2』発売
この2週間の差は決定的でした。当時の男子中学生の脳内占有率は、ほぼ「波動拳のコマンド入力」で埋め尽くされていたはずです。学校に行けば「待ちガイル」への対処法が議論され、放課後は友人の家に集まって対戦に明け暮れる日々。
クラスの友人に「新しいファミコンのRPG買ったんだ」と話しかけても、「え?まだファミコンやってんの?時代はスーファミだろ」と返されるのがオチ。そんな圧倒的な“次世代機ブーム”の陰で、ひっそりとリリースされたのが本作なのです。
コナミ矩形波倶楽部の本気!VRC6(拡張音源)が鳴らす“分厚さ”
コナミのレトロゲームを語る上で、「コナミ矩形波倶楽部」への言及は避けて通れません。本作のBGMは、ファミコン音源の到達点の一つと言っても過言ではない完成度を誇ります。
ここ、記事として強くしておきます。以前の書き方だと誤解を生むのですが、本作は拡張音源(VRC6)対応の“音が増える側”です。だから分厚い。むしろ、「拡張音源をどう料理してコナミ味にしたか」が見どころです。
ボス戦のベースラインのうねり、メロディの抜け、和音の“押し”が強いのに耳に刺さらない。ここがコナミ職人の怖いところ。言い換えるなら、「BGMが前に出るのに、ゲーム体験の邪魔をしない」絶妙なミックスです。
「ピコピコ音」という言葉で片付けると損をします。BGMを聴くために起動する価値が、このゲームには確実にあります。
【ネタバレなし】あらすじとゲームシステム
RPGを買う際、気になるのは「最後まで飽きずに遊べるか」ですよね。特にアクションRPGは、操作が難しすぎて途中で投げてしまった苦い経験を持つ方も多いはず。
結論から言います。『エスパードリーム2』は、アクションが苦手なおじさん世代にこそ遊んでほしい、優しさと冒険心に満ちた作品です。
本の中の世界を冒険!童心に帰れるストーリー
本作の設定は「少年時代の夢」そのもの。主人公の少年「マモル」が、父親の書斎にある本の世界に入り込み、物語を侵食する敵と戦います。
この設定の良さは、ステージごとに世界観がガラリと変わること。ずっと同じ景色が続かないので、飽きにくい。

- 絵に書いたような港町
- 無機質な機械仕掛けの世界
- 時間を旅する列車
「次はどんな世界が待っているんだろう?」という純粋な好奇心が駆動になり、コントローラーを置くタイミングを失ってしまう。そんな没入感が本作にはあります。
アクションRPGとしての完成度と難易度
「反射神経が衰えた今の自分にクリアできるだろうか?」と不安になるかもしれません。『魔界村』や『リンクの冒険』で心を折られた記憶が蘇る方もいるでしょう。
安心してください。本作の難易度は「レベルを上げれば誰でもクリアできる」という、極めてRPG寄りの親切設計です。

戦闘システムは、フィールド上の敵に触れると専用画面に切り替わる「シンボルエンカウント方式」。アクションパートは、超能力(ESP)という名の飛び道具を駆使して戦うシューティング風のスタイルです。
重要ポイントとして、本作は「理不尽な攻撃」が少なめです。敵のパターンを見極めれば避けられる設計が多く、詰みが発生しづらい。
操作性も軽快で、マモル君はサクサク動きます。ストレスなく動かせる気持ち良さと、確実な成長を感じられるRPG要素の融合。これが「刺さる人に刺さる」理由です。
エスパードリーム2の評価・評判
ここまで私の主観で魅力を語ってきましたが、世間の評価はどうなのでしょうか。ここからは「一般の評判」と「独自アンケート」を並べて見ていきます。
結論としては、評価は二極ではなく“三層”です。
- 強烈に好き:音楽・雰囲気・テンポが刺さる(神ゲー側)
- 普通に好き:よくできた作品として納得
- 合わない:子供向け感・薄味に感じる(クソゲー側)
ネット上での一般的な評価(傾向)
レトロゲーム界隈のサイトやSNSでは、「隠れた名作」ランキングで名前が挙がりやすい作品です。意見の傾向はだいたい次の通り。
- BGMが強い(VRC6含め“音の気持ち良さ”が抜けている)
- 世界観が独特で、没入感がある
- アクションが苦手でも完走しやすい
- ボリュームが物足りないと感じる人がいる
- ストーリーが子供向けで“底が浅い”と感じる人がいる
- 場面によってテンポが遅く感じることがある
ここが面白いところで、ネガティブに挙がる「短め」「簡単め」は、今の私たちにはメリットになりやすいです。週末にサクッと完走できて、濃い部分だけ持ち帰れる。忙しい大人に優しい設計です。
【独自調査】YouTube視聴者アンケート(175票)の結果

私が運営するYouTubeチャンネル「メリ爺のゲーム万歳」にて、視聴者アンケートを実施しました。レトロゲーム好きが多いコミュニティなので、かなり“濃い”評価が出ます。
| 評価項目 | 得票率 |
|---|---|
| まごうことなき神ゲー | 24% |
| どちらかと言うと神ゲー | 52% |
| どちらかと言うとクソゲー | 18% |
| まごうことなきクソゲー | 6% |
※得票率はYouTube側の表示に準拠(端数処理の都合で、票数換算するとズレる場合があります)
結果は、全体の76%が「神ゲー(またはそれに近い)」と回答。一方で、クソゲー寄りの票も24%ありました。
ここが大事で、これは「荒れている」のではなく、“刺さるポイントが明確”ということです。合う人は音・テンポ・雰囲気で持っていかれる。合わない人は子供向け感や薄味に見える。その構図が、数字としてきれいに出ています。
視聴者からの「生の声」(抜粋)
コメント欄には、当時の思い出と冷静な分析が入り混じっていました。特に多かったのは次のタイプです。
- 「2があったのを知らなかった」(存在発見系)
- 「幼少期に初めてクリアできたRPG」(成功体験系)
- 「丁寧だけど、ストーリーが子供向けで浅い」(冷静評価系)
- 「名言:相談しましょ♪そうしましょ♪」(記憶定着系)
この“生の声”が示す通り、本作は「全員に100点」ではありません。けれど、ハマる人の脳内に長く残るタイプです。レトロゲームで一番強いのは、ここだったりします。
実際のプレイ映像は、以下の動画でも実況しています。本作の魅力であるBGMも確認できるので、ぜひ一度再生してみてください。
【老後コレクション判定】エスパードリーム2はコレクション入り確定か?
ここからは私、メリ爺が個人的な視点で判定を下す「老後コレクション判定」の時間です。基準はシンプル。「定年後に縁側でお茶(またはお酒)を飲みながら、ストレスなく楽しめるか」です。
結論から申し上げます。本作『エスパードリーム2』は、文句なしの「コレクション入り確定」です。
40代・50代が今遊んで「疲れない」ゲームか?
私たち世代にとって最大の敵は、ラスボスよりも「老眼」と「根気の低下」ですよね。最近のゲームは文字が小さすぎたり、チュートリアルだけで1時間かかったりと、遊ぶ前に疲れてしまうことも少なくありません。
しかし、本作はその点において優秀です。
- 視認性: キャラクターも文字も大きく、ハッキリしたドット絵で見やすい。
- テンポ: セーブポイントが多く、1日30分ずつ進める「大人のプレイスタイル」に対応。
- 操作感: 複雑なコマンド入力は皆無。Aボタンと十字キーだけで直感的に動かせる。
仕事から帰ってきて「今日は妖精の村まで進めよう」と起動し、サクッと目標を達成して気持ちよく寝る。そんな付き合い方ができるゲームです。
判定結果発表!
以上の理由から、私の「老後のゲームコレクション」棚の最前列に並べることに決定しました。
- 希少性: ファミコン末期ソフトのため、状態の良い個体は入手が年々難しくなりがち。
- 遊びやすさ: アクションRPGとしてのバランスが良く、詰みにくい。
- BGM: VRC6の“コナミ味”が強く、音楽目的で起動できる。
エスパードリーム2を今遊ぶ方法(Switchや互換機)
ここまで読み進めた時点で、あなたの心の中で「マモル君との冒険」を始めたい欲求がピークに達しているはずです。
Nintendo Switchで遊べる?配信状況の考え方
検索窓に「エスパードリーム2 Switch」と打つ人が多いので、ここはストレートに書きます。
Switchのサブスク配信(Nintendo Switch Online 等)は、タイトル追加が随時行われます。そのため断定は避けますが、少なくとも私が確認できる範囲では、本作を“今すぐダウンロードして遊べる”導線は見つけづらい状況です。
なお、前作『エスパードリーム』は過去にバーチャルコンソール等での配信がありましたが、続編である本作については、配信が確認できない旨が資料上でも触れられています。
嘆いていてもゲームは始まりません。遊ぶ方法として現実的なのは、次の2つです。
- 中古カセットを入手して実機で遊ぶ
- 中古カセット+互換機(レトロフリーク等)で快適に遊ぶ

実機カセットと「レトロフリーク」が強い理由
「実機カセットが必要なのはわかった。でも、家のファミコンは動くかな…?」
そんな不安を持つ方に、私が“現実解”として推したいのは「中古ソフト」+「レトロフリーク(互換機)」というスタイルです。
理由は2つあります。
- 画質(HDMI出力)
赤白黄色のケーブルを今のテレビに繋ぐと、滲んで文字が読みにくいことがあります。HDMI出力ができる互換機なら、ドット絵がくっきり映りやすいです。 - 快適性(環境の安定)
実機は個体差や接触不良、ケーブル問題が出やすいです。互換機だと、設置や運用がラクになりがちです。
中古相場は変動しますが、「いつか遊ぼう」と思っているなら、その“いつか”のために情報だけでも押さえておくと後悔しにくいです。
▼中古ソフトを探す(非アフィ・検索リンク例)
▼互換機(レトロフリーク等)で環境を整える(非アフィ・検索リンク例)
まとめ:あの頃の忘れ物を取りに行こう
今回は、1992年のスト2ブームの陰でひっそりと、しかし確かな輝きを放っていた名作『エスパードリーム2』を紹介しました。
- 評価の本質:「全員に100点」ではないが、刺さる人の記憶に残るタイプ。
- 大人適性:詰みにくく、短い時間で進めやすい設計。
- 音が強い:VRC6(拡張音源)込みの“コナミ味”が濃い。
学生時代には素通りしていたものが、大人になると沁みることがあります。派手な格闘ゲームの陰に隠れていた「職人のこだわり」や「心に残るBGM」を、今の私たちなら骨の髄まで味わえるはずです。

今度の休日は、スマホの通知をオフにして、童心に帰る冒険に出かけてみませんか?
▼動画でBGMと実際の動きを確認する
私の運営するYouTubeチャンネル「メリ爺のゲーム万歳」では、本記事では伝えきれなかった「妖精の村のBGM」や「ラスボス戦の熱い展開」を映像で紹介しています。
「文字だけじゃイメージが湧かない」「購入前に実際の画面を見たい」という方は、ぜひYouTubeの方にも遊びに来てください。コメント欄で、あなたの思い出話を聞けるのを楽しみにしています。

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